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姉妹都市提携の「棚卸し」の始め方
— 庁内に散らばる記録を1枚にする

提携の経緯や交流の記録が庁内のあちこちに散らばっていませんか。議事録・広報紙・前任者資料から「提携カルテ」を1枚にまとめる手順を、実務の順番で解説します。

「うちの姉妹都市、最後に往来があったのはいつでしたか」。議会や上司からのこの質問に、即答できる自治体は意外と多くありません。日本の姉妹都市・友好都市提携は自治体国際化協会(CLAIR)の資料で1,800を超えますが、その多くで、提携の経緯や交流の記録は庁内のあちこちに分散したまま眠っています。異動のたびに情報が薄まり、気づけば「なぜ提携したのか誰も説明できない」状態になる——これが交流休眠の典型的な入口です。

本稿では、散らばった記録を「提携カルテ」というA4一枚(+別添年表)に集約する棚卸しの手順を、実際に手を動かす順番でご紹介します。特別な予算は不要で、必要なのは半日×数回の作業時間だけです。

1. ゴールを先に決める — 「提携カルテ」の項目

収集を始める前に、埋めるべき欄を確定させます。項目が決まっていれば、資料を読む作業が「探し物」から「穴埋め」に変わり、格段に速くなります。最低限、次の8項目が入っていれば実務に耐えます。

  • 基本情報:相手都市名(現地語表記も併記)・国・提携年月日・提携の種別(姉妹都市か友好都市か)
  • 提携の経緯:誰が、何をきっかけに始めたのか
  • 交流年表:往来・事業の記録(別添で可)
  • 締結文書:提携盟約書の所在と、記載された約束事
  • 連絡窓口:相手都市側の担当部署と、直近のやり取りの日付
  • 関係者:民間の交流団体、学校、通訳者など庁外のキーパーソン
  • 予算の履歴:直近数年の関連予算と執行状況
  • 現状評価:活発・維持・休眠のどれか、その根拠

2. 庁内の4つの「鉱脈」を順に掘る

記録は探す順番が大切です。情報の密度が高い順に、次の4か所を当たるのが効率的です。

①議会議事録。提携時には必ず議会で議決や報告がなされているのが一般的です。議事録検索システムで相手都市名を検索すれば、提携の年月日と当時の目的が「公式な言葉」で見つかります。カルテの根拠資料として最も信頼できます。

②広報紙のバックナンバー。訪問団の派遣・受入は広報記事になっていることが多く、写真付きで日付・参加者・行事内容が残っています。図書館や庁内書庫の縮刷版を、提携年から数年おきに拾い読みするだけでも年表の骨格ができます。

③前任者の引き継ぎ資料と共有フォルダ。ファイル名や日付だけでも往来の痕跡が拾えます。紙のキングファイルに盟約書の写しや当時の名簿が挟まっていることも珍しくありません。

④文書管理システム・例規。提携に関する要綱や交流協会への補助金交付要綱が残っていれば、事業の制度的な位置づけが分かります。

3. 相手都市の側から見る — 公式サイトという鏡

庁内資料だけでは、視点が一方通行になります。相手都市の公式サイトで自分のまちの名前(ローマ字表記)を検索してみてください。相手側が提携をどう紹介しているか、そもそも紹介しているかどうか自体が、関係の現在地を映す鏡になります。相手側のページに古い市長名や誤った提携年が載っていれば、それは連絡再開の自然な口実にもなります。機械翻訳で十分読めますので、現地語だからと敬遠する必要はありません。

4. 1枚にまとめ、日付を入れて庁内に流す

集めた情報はカルテ様式に転記し、作成日と作成者名を必ず入れて完成させます。日付のない資料は更新されず、再び「発掘対象」に戻ってしまうためです。完成したら上司への報告だけで終わらせず、企画・観光・教育委員会など関係しそうな部署に共有します。「実はうちの学校で文通をやっていた」といった庁内の埋もれた交流が、共有をきっかけに浮かび上がることがよくあります。

棚卸しの成果物は資料ではなく、「即答できる状態」です。

なお、提携数が全国で1,800を超える一方、概算で毎年約37の提携が◯5・◯0周年の節目を迎えます。自分のまちの提携年が分かれば、次の周年まであと何年かも自動的に分かります。カルテはそのまま、周年事業の企画書の第一章になります。


テクスト株式会社は、全国21自治体で人材育成・プロジェクトマネジメント・国際交流の実務を支援してきました。棚卸しの進め方や様式づくりでお困りの際は、姉妹都市・友好都市×地方創生のページをご覧いただくか、お問い合わせよりお気軽にご相談ください。

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