チャットボットは、文章や音声での問いかけに応答する仕組みです。決めたルールに沿って答えるものや、AIを使って質問を理解したり回答を生成したりするものがあります。AWSのチャットボット解説
会社で導入する際は、チャット画面の使いやすさに加え、「何を根拠に答え、答えられない場合は誰へ渡すか」を決めます。社内規程への質問と、顧客への商品案内では、使う資料も誤回答の影響も違うためです。
三つの方式を、答える仕事から比べる
| 方式 | 得意とする仕事の例 | 確認したい点 |
|---|---|---|
| ルール・選択肢型 | 受付時間や申請先など、分岐が明確な案内 | 選択肢にない質問をどう扱うか |
| FAQ検索型 | 整備された質問と回答から案内する | 言い換えや条件違いを区別できるか |
| 生成AIと資料検索を使う型 | 資料を探し、質問に合わせて回答案を作る | 資料の根拠、更新、権限を守れるか |
資料を検索し、その情報を生成AIへ渡して回答する方法は、RAG(検索拡張生成)と呼ばれます。チャットボットは会話の窓口、RAGは回答の根拠を用意する方法で、同じ仕組みの中で組み合わせられます。
資料を検索して回答する仕組みと閲覧権限は、RAGの基本と導入前の確認点で詳しく説明しています。
実際の製品では複数の方式が組み合わされることがあります。分類名だけで決めず、必要な回答を出せるかを試します。
社内向けと顧客向けで、先に決めること
社内向けなら、部署や役割ごとの閲覧範囲が重要です。質問者が読めない規程や顧客資料を、回答文や引用に混ぜない構成が必要になります。
顧客向けでは、公開してよい情報を明確にします。個別の価格、納期、契約条件などを、一般的な案内から勝手に確定させないようにします。既存の問い合わせ管理へ渡せるか、引継ぎ後に担当者が同じ内容を確認できるかも、導入前に確かめます。本人確認が必要な内容は、通常のFAQと同じ経路では答えられない場合もあります。
| 対象 | 最初の範囲の例 | 人へ渡す場面 |
|---|---|---|
| 社内FAQ | 共通の申請手順 | 規程に例外や矛盾がある |
| 営業支援 | 公開可能なサービス情報 | 顧客別の条件を判断する |
| 顧客案内 | 使い方や受付窓口 | 個別契約・苦情・確認が必要な申告 |
上の表は導入範囲を考える例です。自社で案内可能な内容と窓口を決めてください。
最初に集めるのは、実際によく聞かれる質問
資料を大量に入れる前に、担当者が繰り返し受ける質問を集めます。質問ごとに、回答、根拠資料、例外、確認担当を対応させます。
質問:見積もりを依頼するときに必要な情報は何か
回答の根拠:見積依頼の案内 v2
案内する項目:対象サービス、数量、希望時期、提供できる資料
例外:個別開発は標準フォームだけでは見積もれない
人へ渡す条件:希望する内容が案内の対象外
確認担当:営業窓口
これは架空の記入例です。実際のサービスにない条件をAIに作らせず、現行の案内を確認して埋めます。社内FAQの作り方では、質問整理と原典管理を詳しく説明しています。
「回答できません」の次を用意する
答えられない場合に、同じ質問を繰り返させると利用者の手間が増えます。何が分かっていないか、担当者へ何を渡すかを決めます。
例えば、問い合わせ内容と参照した案内を引継ぎメモに残す方法があります。ただし、会話全文を必要以上に共有するのではなく、対応に必要な情報と共有範囲を確認します。受付したのか、担当者が確認中なのか、回答済みなのかも区別してください。
比較試験では、条件違いを混ぜる
同じ正解が返る質問だけでは、実務での品質は分かりません。次の四種類を含めて、候補の仕組みを比べます。
- 案内文と同じ言葉で聞く質問。
- 略称や言い換えで聞く質問。
- 資料に答えがない質問。
- 権限外、個別判断、例外に関係する質問。
記録するのは正答数だけではなく、誤案内、人への引継ぎ、利用者の聞き直し、運用側の修正です。「回答した割合」が高くても、誤った回答を増やしていれば改善とは言えません。
運用担当と資料の更新を決める
規程やサービス内容が変わったとき、資料の更新、検索への反映、回答試験の担当を決めます。古い版が残っていないかも確認してください。社内資料をAIで検索する準備と一緒に整理できます。
まず、よくある質問と回答の根拠を一組用意してみてください。FAQ・問い合わせ対応の導入相談では、その材料から、AIが答える範囲と人へ戻す条件を具体化できます。